高貴高齢者の自立支援のための実践アイデア(4)デパート篇 |
ふと一昨年まで暮らしていた代々木のことを思い出しました。
私のいた代々木駅近隣の裏手には古い商店街があり昔から住んでいる人々がたくさんいて、女性高貴高齢者が多かった。
おばあさんたちは毎日のように一人気ままにJRの線路を渡って新宿高島屋のデパ地下に通っていた。
買い物の用事があるというよりは「気晴らしを兼ねた散歩」という感じで、それはそれでおばあさんたちの「心身の健康を保つ術」であるように感じました。
なぜ私はそんなことを思い出したのか。
おそらく数日前のテレビ番組で、リタイヤした団塊世代にアルコール依存症が急増していることを聞いたからでしょう。
代々木でも、高貴でない男性高齢者が夕方、酒を出すラーメン店が5時に開くと同時に入って一杯やって、7時過ぎに駅前の方の飲み屋に移動するのを毎日のように目撃した。その光景は、私が行きつけの珈琲店でよく目撃した、デパート帰りのお洒落した女性高齢者の高貴なる印象と対照的だった。
そんなことから、都心デパートが、東京郊外に住む多くの自立歩行できる男女高齢者に対して、デパート内の「気晴らしを兼ねた散歩」の機会を提供してデパートの儲けにも繋げるアイデアがある筈だと考えはじめました。
具体的にはこんなアイデアが可能です。
(1)自立歩行できる男女高齢者に対して、
郊外主要駅とデパートを往復する
「高齢者専用バス」(有料)を発着させる。
(自立歩行できない者の場合、
介護者同伴で乗車できるものとする。)
(2)自立歩行できない男女高齢者に対しては、
介護者同伴と有料介護サービス提供を前提とする
「高齢者専用バス」(有料)を発着させる。
(介護サービス要員は、
自宅~バス停間の送迎をする者と、
バスへの乗車と移動中と下車を支援する者と、
バス停~デパート間とデパート内を支援する者
で構成する。)
*自宅~バス停間の送迎をする者は地元介護サービスが、
バスへの乗車と移動中と下車を支援する者と、
バス停~デパート間とデパート内を支援する者は
デパートが用意する。
デパートが用意する有料介護サービスは、
法律的にどのような枠組みでどういう体制とするかなど
詳細は専門家に委ねたい。
(2)の介護サービス提供については、営利企業であるデパートは「買い物をしてくれる得意客としての高齢者」を対象に比較的高額の有料サービスをするしかありません。
だからその料金を惜しむ自立歩行できない高齢者の場合は、家族が介護者となってドア・ツー・ドアでずっと付き添う(1)を利用してもらうしかありません。
本アイデアの具現化は、素人ボランティアを動員して安く上げられるような単純素朴な話ではない筈です。
しかし、それでも以上の方策には高齢者とその家族にメリットがあります。
その理由は、東京の郊外と都心を結ぶ電車の大混雑です。
たとえ自立歩行できる高齢者といえども満員電車や混雑する駅構内を移動するのは大変で、家族が車椅子を押しての移動は更にままならない。
結果、
郊外に住む家族は、自家用車以外の手段では高貴高齢者の都心デパートへの同伴を諦めている。
こうした現状はデパートにとっても、「本来ならば買い物をしてくれる高齢者とその家族を集客できずにいる機会損失」に他なりません。
東京の都心百貨店は、ここ数年連続の売上下落を中国人富裕層の集客で補ってきた。
しかしそれが昨年来の世界金融危機で今までのようには期待できなくなる。
ならば、
世界不況にも収入が変化しない
「経済的なゆとりはあるが、来店を諦めたり遠慮していた高齢者」を集客するのは妥当な方策
と言えます。
幸い渋谷と池袋は、百貨店が郊外私鉄バス会社と関係深いから、バス連携はやろうと思えばすぐにできるのではないでしょうか。(東急、小田急、京王、東武。旧西武セゾンは今やセブンイレブンのIYグループ。)
その点、新宿の伊勢丹、高島屋、銀座の三越、松屋はバス連携は工夫を要する。
ということは、このアイデアは鉄道系百貨店の非鉄道系に対する有効な差別化策となります。(大阪ならば、阪急、阪神、近鉄向け。)
私の望みは、百貨店の儲け手段でもある本アイデアが普及してそれが高貴高齢者の自立支援に繋がることです。それが叶えばどこの百貨店がやってくれても構いません。
百貨店関係者の方、是非ご一考お願いします!