「中国に出現した『未来都市』深センで見た驚くべき光景」を読んで① |
◉「バックミラー・ナビゲーター」の開発と体制に関連して
オペレータとのやり取りで案内してくれるのはかなり昔からトヨタがたしかGAZOOでユーザー向けにやっていて、今は、いろんな支援をするT-Connectになっている。トヨタのT-Connect対応カーナビなら、 トヨタスマートセンターと通信でつながり、行き先を予測して役立つ情報を教えてくれたり、話しかけるだけで目的地を探してくれる「 エージェント」機能や、様々なアプリをカーナビにインストールできる「Apps(アップス)」(観光案内などもある https://tconnect.jp/appcatalog/common/pdf/guide_10031_1.pdf)
、 新しい道路情報の更新のほか、安心・安全のための各種サービス、「オンラインケア」が利用できる。
一方、03年創業して中国最大の車内機器メーカーに成長したAnytek(安尼泰科)のこの製品は、バックミラーの中がカーナビ画面に切り替わり、地図に赤いラインが入り、オペレータの「この先、200m先を右折してください」といった指示に従うもの。
中国で大ヒットしているが、バックミラーの中がカーナビ画面に切り替わるのは、老眼の私には危険なので好ましいとは思えない。
しかし、メーカーが後から考えれば稚拙とも言えるアイデアに挑戦して消費者も新し物好きでどんどん買っては飽きて行くという好循環は日本の高度成長期からバブル期にもあった。また当時の日本はモノ発想ばかりだったが、インターネットの普及とともに成長した中国では、ハード・デバイスとオンウェブ・サービスとの連動が当たり前で、トヨタが自社のクルマユーザー向けに副次的にT-Connectに至り、対応カーナビを買えば他社のクルマユーザーも利用できるというのとは枠組みが違う。
ちょっとしたことだが、オペレータの音声の回答だけでは心もとなく、カーナビ画面に赤いラインが残ることがけっこう大きい。
たとえば、NTTの電話番号案内サービスで番号をきいても、そのまま繋げてくれないケースがあり、その場合、暗記しなければならないのが大変なようにである。音声メモを使えばいいのだが、咄嗟にその操作ができる人は多くはないし、音声メモの再生の手間がかかる。ケータイのショートメールに電話番号のメモが送られてくれば助かるのだが。。
私自身の経験としては、20年前に、カーナビとテレビを生産するメーカーに、テレビ番組で紹介されたお店を気に入った時にリモコンのあるボタンを押すとネット上の店の位置ほかの情報のURLを取得、それを何らかの方法でカーナビに転送する。すると、たまたまその方面に向かっていた時に、その店の情報がカーナビ画面や音声でリマインドされる、というアイデアを提案した。
カーナビとテレビの両方を生産しているメーカーだからこそできるし、だからこそ競合を優位に差別化できると考えたのだが、まったく相手にされなかった。企業内部の問題として、事業部門が相互連携しない分断経営がなされていたことと、トヨタ以上にハード・デバイスとオンウェブ・サービスとを連動する志向を欠いていた。
おそらくこうしたアイデアは、中国のAnytek(安尼泰科)がテレビメーカーやテレビ局に働きかけて実現していくのではなかろうか。
そのビジネスモデルが世界を席巻しそうならば中国政府の関係者も動いて企業連携が進むということもあろう。
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へ続く