どんな言葉を重ねての結論かで発想思考の経過や傾向が分かる。 |
先日、20代の若者が「SNSは中高年が多く彼らは個人情報を発することに無防備過ぎる」と言っていた。
そういう話は一般論としてよく聞くが、可愛い子供の写真をアップするなども個人情報でこれは20代30代の方が多いから、何も無防備は中高年に限ったことではないと思ったが言わなかった。
どうしても年代世代で十把一絡げにして自分の世代はよく、上下の世代はよくないと結論してしまう論調があり、そこはスルーした方がいいという私個人の経験則ゆえだ。そこを否定すると何も話を聞けなくなってしまう。そういう論調には年齢世代に関係なく少なからず遭遇する。
私はつねに年齢世代よりも個人差の方が大きく、重要な論題ほど個人差に注目すべきと思っている。
この前地元テレビでそれがやはり正しいと思わせる象徴的なニュースを見た。
熱海で高齢者の万引きが増えているのだそうだ。
熱海警察の人が説明するに、移住してきた単身生活者の人がほとんどで、経済苦が理由の者だけでなくリゾートマンションに暮らしている者もいるという。
よく、高齢者が年金を分厚くもらっていて若者の負担を増していて、そこが問題だ、とまるで世代間対立を助長するような論を聞く。
しかしまともな食生活をできていない高齢者も多く、その一部が万引きをしてしまうのだ。
万引き者の中の高齢者の比率が増大しているということは、困窮している高齢者が拡大しているということである。つまり高齢者を個人差でみる必要がある。
まして、困窮していないのに万引きする高齢者も多いことの背景は、個人差に着目しなければ明らかにならない。
冒頭の個人情報の話に戻すと、SNS上に他者のツイートやブログ記事をコピペしたりURL紹介しているだけでも、そこから思想信条や趣味嗜好が分かる訳で、それも利用しようとする者からすれば有効な個人情報となる。
つまり、何をコメントしてもアップしても、たとえリツイートやいいね!だけしてても、すべてが個人情報として利用されるリスクがある、と考える方がリスク意識としては高い。
おそらく、冒頭の若者は、テレビやネット上でみんなが使っている「個人情報」についての物言いやその用語法や言い回しをそのまま使って発想思考しているのではないか。
しかし、世間で頻繁に使われている一般的な用語や言い回しほどその用語法に偏りや嘘がないかチェックする必要がある。
それこそが自分の頭で考える、ということの出発点だ。
老若男女に関わらず、
一般的に流布する物言いや用語法や言い回しばかりを重ねて発想思考する人と、
自分ならではの着眼点や捉え方や切り口で用語法自体を創出して発想思考する人がいる。
結論が同じでも発想思考の経過はぜんぜん違う。
私個人的には意見が違う人でも、後者の発想思考をする人の話は面白く触発されることが多い。
つまり、自分がしてきた用語法との違いから自分の発想思考の経過を対照的に認識できる。
ああ、同じ事をみても着眼点や捉え方や切り口が違うとこういう経過でこういう結論になるのか、それに照らして自分の場合はこうだったのか、と。