コンビニコピー機でスキャニングしフィードバックをプリントアウトで得る「レ点書き込み型情報誌」 |
だからといって、リアリティがないかどうかは、生活者であるみなさんのご判断にお任せしたい。
要は、占いでも性格診断でも、何かオーダーメイド商品の仕様指定でも、さらには高級温泉旅館の部屋や料理メニューの指定予約でもいい、雑誌ページの記事中のボックス群にレ点でチェックしていって、それをコンビニコピー機でスキャニングして、占いや診断の結果なり、仕様書発注した商品やサービスの受注確認書をプリントアウトして受け取る、というアイデアだ。
仕掛けはデジタル・ネットワークなのに利用者の生活行動は全部アナログ、というのがポイントです。
コンビニコピー機に関わるIT系エキスパートは、何でも全部パソコンやケータイでやるのがいいとタンジュンに考えている。しかし、ITでできることと需要があることは違う。
その最たるは、彼らがうまく行くと自信をもって実行し見事に失敗した例だ。「コンビニコピー機の写真プリント機能でJリーグのスター選手のプロマイドが買える」と打ち出して、日本全国で数えるほどしか売れなかった。こういう感性のIT系エキスパートから没にされても、私にはまったく自分のアイデアがダメだとは思えない。提案しだして15年、苦節とも思っていない。私の見るところ、需要的にも技術的にも社会動向的にもリアリティはさらに高まってきたからだ。
若い女性に聞けば、「ケータイでできることには限界があるし、パソコンは苦手だ」という人が多い。彼女たちに、コンビニで自分の好きな雑誌を買って読み、あるページの記事中のボックスにレ点でチェックしてコンビニコピー機でスキャニングすれば、その場でそのフィードバックをプリントアウトで受け取れることを説明すると、そういう「オール・アナログの行動はそれなりに便利だ」と言う。
一方IT系エキスパートは、「それでお金はどうやってとるのか」「スキャニングではお金はとれない」と言う。
そんなの「レ点書き込み型情報誌」の値段に含めるとか、成約した商品やサービスの売り手から成功報酬でとるとか、それを含めた成功報酬型記事広告というビジネスモデルとするとか色々方法はある。
しかし、コンビニコピー機に関わるIT系エキスパートはそういう自分の専門外のチャレンジには二の足を踏むのだ。
私は「コンセプト思考術」研修で、こういう実状を<送り手側のモノ提供の論理>に囚われているとする。顧客志向たる者、<受け手側のコト実現の論理>に立脚せねばならない。ここで受け手とは「生活者」、「コト」とは生活のことです。
生活者のニーズが顕在にしろ潜在にしろあれば、それにどう対応するかあるいは発掘するかを考えるのが本当のプロなのだ。
しかし現状は、「自分たちのできるシーズに合わせて生活者にある行動をとらせようとするのがプロだ」と勘違いしているエキスパートがとても多い。
高齢者のコンビニ利用が増えている。
また、少子高齢化に対応してコンビニの方も高齢者の取り込みが課題となっている。
高齢者がアナログ志向であり、今後高齢者となる今はパソコンやケータイを多用している私などもアナログの方が便利に快適に済むことはそうしたいと思うことは分かりきっている。
たとえば、クロスワードパズルや数独の雑誌の懸賞問題に書き込むなんてアナログ行動をしている人々は、それが前述のような「オール・アナログ行動」でフィードバックを得られるなららくちんだ。
また、高級温泉旅館の記事を読みながら、部屋は風呂付、風呂は露天、夕食メニューのメインはこれサイドはこれ小鉢はこれデザートはこれ、朝食メニューは、、と楽しく想像しながら記事中のボックス群にレ点をつけて指定していき、そのページをコンビニコピー機でスキャニングすれば予約でき、成約確認書がプリントアウトされるのであれば、これまた「オール・アナログ行動」ならではのらくちんさがある。
パソコンを立ち上げて旅館予約サイトを呼び出して記入し、旅館から返送されるメールを確認するという「デジタル行動」を介在させる場合、心理的な流れに途切れが生じるのだ。
(これは、パソコン生活で言えばマックOSとウィンドーズOSとの違いと同じで、前者はドキドキ、ワクワクの心理的な流れに途切れがなく、後者は途切れが生じる。iPodの操作性が単に端末ハードだけでなく、iTunesサービスとの途切れなさにあることも同じ話。)
周知のようにコンビニの単店当りの売上は、私がこのアイデアを提案しはじめた15年前にはすでに伸びが鈍化していて後に頭打ちになっている。
中高年の取り込みはもちろんのこと、客単価を上げることが急務となって久しい。
ここで、店頭扱いではない商品やサービスを斡旋してのマージン収益を拡張していくことが、コンビニの挑戦すべき課題であることは明らか。
私がいくら没にされても自分のアイデアに自信があるのは、この課題に正面から挑戦しているアイデアだからです。
コンビニ入り口のあれだけの床面積を占有していながら、ほとんどコピ-の売上しか上げていない(FAXやカラープリントの利用もあるが、「コンビニならではの情報受発信端末としての可能性」はもっともっと大きい)。
コンビニ企業と事務機メーカーのIT系エキスパートは、この事態を長年にわたって抜本的には解決できないできている。というか将来に向けた課題に真正面から向き合おうとしていない。
そんな彼らにアイデアを没にされても私がまったく挫けないのは、理由がないことではないのです。