自分と日本が変わるための選挙以前に大切なこと |
私の憶測が正しいかどうかに関わらず、自民党政権で二階氏が進めていたTPPを菅政権が引き継いで言い出し、消費増税を言い出していて、東日本大震災の後、本来ならは借金をしてでも復興に当たるべきを、次の野田政権ともどもTPP交渉参加と消費増税推進に邁進した。その過程で復興税が決まりそのほとんどが被災地以外に使われてしまう、なんてこともあった。
昨年末の衆院選では、TPP参加反対はブレナイを強調した自民党が躍進するが、安倍政権はTPP交渉参加を押し進める。
福島第一の放射能汚染の地下水脈や海への漏出の深刻化が明らかになってきたが、地下地層の凍結で済まし、それとは比較にならない巨費の掛かる「ドームダム化」は国民的な議論にしない。もちろんテレビ新聞も協力してのことだ。
山本太郎氏が街頭で訴えていること。
◯日米原子力協定がある以上、日本は脱原発ができない。
◯TPPに参加すればISD条項のために、原発企業が脱原発政策で損失を被ったとして賠償を請求され、脱原発コストが拡大する。
この2点が肝心要だが、歴代政権もテレビ新聞もこれを国民的な議論にしない、ならないようにしてきた。この点では民主も自民も同じなのだ。
一方、ネット上では、「ドームダム化」「TPPが国家主権を損なうこと」「日米原子力協定という軛(くびき)」の情報がずっと流通してきた。
私も数少ない信頼をよせる友人知人に伝えてきた。しかし反応は乏しかった。他の話題では「いいね」をくれる人もパスだった。
これを敷衍すれば、一般的な日本人の顔見知り同士は日常的に時事問題を話題とすることを避けて、たとえ選挙前でも、テレビ新聞が言っているような範囲とその使用語彙を使っての対話はしても、それが自粛なり偏向なりで触れない範囲や使わない語彙を使っての対話はしない、と想像する。
最も肝心要のことが、国政でも、テレビ新聞でも、日常的な市民同士の対話でも言及されない。
しかも言うまでもなく、これはうるさいオヤジがする政治談義の話じゃない。自分と子供と未来の日本人の命と健康、自由や幸福に直接関わる論題だ。左翼も右翼も関係ない。反米も反中も関係ない。イデオロギーも宗教も関係ない。そういう意味では差し障りのない話題な筈なのにだ。
この肝心要のことでの非対話状態、それはそうした対話する者が疎まれることでもあるが、それが変わらないで、選挙で何が変わると言うのだろうか。
私は、一部の有志市民が休日を使ってデモをすることを評価するが、それ以上に、一般市民が日常的に肝心要のことを、いや肝心要のことだけを対話することが、足下の人間関係から社会を変えて行くことに繋がると思えてならない。
日本人の一般市民にもたとえば今騒乱の渦中にあるエジプトと同様に、有志を自負する大勢の人々がいるが、果たして、その一人一人はこの肝心要のことでの非対話状態をどうしていくのだろうか。
何もせず、非対話のまま有志を自負していくのだろうか。